10月はダイビングのお仕事をたくさんやらせていただきました。ありがとうございます。
要点
- 水温27℃
- 雨のち晴れ、北東風
- 1st dive 初見のセラトブレグマ属未同定種発見 ⇒ 和名はミカンヘビギンポでした
- 2nd dive クシノハカクレエビの撮り方に正解はあるのか?
- 3rd dive マダラタルミ子供を撮る時は水中を向け!!
1st dive
最近、ここのポイントによく潜る。
スピッツ開店当初から潜っていたけれど、地理的な要因が理由でもう潜れなくなっています。
まぁー無理してタンク背負って歩いたら潜れるけれど……。
けっこう歩かないと無理です。
ディープファーストのセオリーを無視
ここで潜る時は、いつも浅瀬を徘徊。
「浅瀬に何かがいる」からではなく、「深場に何もいない」という理由による。
いや、「何もいない」というのは語弊がある。
もちろん生き物はいるんですが、「深場を住処とする生き物で、なおかつ人気者がいない」
と、いうことです。
浅い水深で見られる生物を深い水深に見にいく理由はないし、
そーいう場所だとわかっているなら、無駄に窒素を貯めないことこそがセオリーだ。
反復ダイビングのルールから逸脱していることは重々承知だが、あえて浅瀬で45分間を過ごすのが
ここでの私のガイドの仕方。
海は全部つながっているし、どこから何が流れ居着いているかわからない。
「いない」と決めつけて見に行かないことは、自分から新しい生物と出会う機会を失うことで
非常にもったいない考え方ではないかい?
まぁー確かにその通り。
でもね、過去に100回潜って特筆に値するものが何も出なかったら、
そこのエリアを見限ってもいいんじゃない?
見限ることで、新たな場所を散策できる。
水中で過ごせる時間は限られている上に、お客さんが沖縄の海で潜れる時間はさらに限定的だ。
ガイドの経験則から行う判断は効率的でなければならない。
メレンゲウミウシ
そんな時に見つかる生き物は本当にありがたい。
大きくて紹介しやすいウミウシはガイドさん大助かり。
ハナミノカサゴ
胸鰭に水玉模様が見える、このサイズはとても重宝します。
誰もが大好き。
世界中でアイドルでしょう。
アザミカクレモエビ
ウミアザミがあるといつでも探しちゃうのは、このエビじゃなくて
バオバブカイカムリなんだけれど。
バオバブカイカムリはなかなか見つけられなくなってしまった。
見つかるのはいつもこのエビばかり。
バオバブカイカムリ、いないなーと思っていたら出会った衝撃的な色彩のヘビギンポ。
セラトブレグマ属未同定種
オレンジの色彩がなんたることか。
初見です。
沖縄県内では発見例がそんなに多くないヘビギンポの仲間です。
名前でググってみるとマクロでお馴染みのショップさんが出てきます。
- 沖縄本島 ドルフィンキックさん
- 石垣島 ダイブマンさん
なるほど……という2ショップです。
2店舗共、ドマクロダイビングショップとしてマクロ派ダイバーに有名です。
継続して見られるのか、今後もフォローしていきたい……ところですが、
もう季節的に無理。
来年の課題ですね。
追記
ケラマの先輩イントラさんからまたもや貴重な情報を頂きましたので追記させていただきます。
2021/9/17に発表された論文で「ミカンヘビギンポ」と命名されました。
Mさんいつもありがとうございます。
タコの仲間
小さな岩の隙間にタコが隠れていました。
少し驚かせて体色を変えてもらいました。
そうじゃないとタコに見えないからね。
2nd dive
2本目、久しぶりに見たクシノハカクレエビ。
毎回、試行錯誤するものの、いつもこのような写真になってしまう。
クシノハカクレエビ
筒状のカイメン(たいがいザラカイメン)に住んでいるエビです。
去年の緊急事態宣言下では「ステイホーム」を象徴する写真としてたくさんのダイビングショップに使われていました。
クシノハカクレエビ、ステイホーム写真の撮り方
- 水中ライトを点灯。ザラカイメンの根元に直接くっつけてカイメンの内部を明るくします
- オリンパスTGシリーズの設定は、顕微鏡モード、ストロボオフで、一番ズームした状態にします
- ザラカイメンの大きく開いた口にくっつけるようにカメラを構える
- 水中ライトをいろんな方向、角度に動かしつつコンデジの画面を見ながら自分好みの明るさ、暗さを探しつつ撮影します
この手の写真から受けるイメージは、「雪国のかまくら」です。
「かまくら」とは縁遠い人生でしたが、こんなイメージかなー……と想像。
ウィル・エウフィリウス
ナガレハナサンゴじゃない。
沖縄ではナガレハナサンゴには住んでいません。
ハナサンゴ、うん。ハナサンゴに近い種類に住んでいます。
ウィル・エウフィリウス の住処がハナサンゴかどうかは私にはわからない。
昔からよく見たし、今もよくいます。
なのにまだ和名がない。
海の中にはそーいう生き物がたくさんいます。
アデヤカミノウミウシ
沖縄でウミウシを見るには冬に潜るんだけれど、
夏でも見れるウミウシもいます。
アデヤカミノウミウシはそれの代表選手ですね。
あと夏にも見れるって言えば、モザイクウミウシ、ユキヤマウミウシ、コンペイトウウミウシ、シンデレラウミウシ、サキシマミノウミウシ、ケラマミノウミウシとかかな。
美しいイソギンチャクとハマクマノミ
これはきれいかもしれない?
そう思えるイソギンチャクに巡り合えたら、撮影してみるのが一番。
ストロボを当てて、しっかり色が出るように撮影。
わぁおー……。触手先端、紫色じゃんっ!!
ここに住んでるハマクマノミがもう少し小さい時に出会いたかったね
だけどきれい。
3rd dive
3本目は恩納村の中でも新しいポイント。私がスピッツを開店した当初はポイントになっていませんでした。
ここ数年でポイント化されました。
セールスポイントは「サンゴの美しさ」です。
今日のように恩納村にサンゴが普通にあるようになる前から、ここにはサンゴがモリモリ元気に育っていました。
最近はどこのポイントもサンゴが育ってきたので、ことさらここでサンゴを見せなくても、
どこでもサンゴが見れるようになってしまった。
嬉しい悩みですね。
なので、私はいつものように小物に傾向したガイドになっていく。
ナデシコカクレエビ
見つけると紹介したくなるカクレエビです。
10年前だったら、ナデシコカクレエビってそんなに見なかったと思うのだが、
最近は普通にいっぱい見かけます。
これもサンゴが育ってきた成果のひとつと言えるかもしれません。
そして今年豊作なネタのひとつがこれ。
オリンパスコンデジTG2でマダラタルミ子供を撮る
今年は本当にいろんなポイントで見かけます。
白黒でパンダのような模様。
ひらひらした泳ぎ方。
アイドル要素満点の幼魚です。
だけど……コンデジだとうまく撮れないです
ひらひら泳ぐ系はコツがあります
下の写真がよくあるミスですね。
ピントが合わない
コンデジのオートフォーカスはそんなに高性能じゃないので、
画角の中にいろんなものが入っていると
どこにピントを合わせればよいか迷ってしまいます。
なので、不要なものは排除
下の写真のように、壁もサンゴもなにもかもいらない。
水中を泳ぐマダラタルミ子供だけを画角の中に収めましょう。
するとコンデジは、マダラタルミ子供しかピントを合わせる対象物がないので、
すんなりピントの合った写真が撮影できます。
ここで大事なのは、
リーフなどの壁を背にして体ごとブルーウォーターと向き合うこと。
それが無理なら、せめてカメラだけでも水だけの方向に向けること。
ちなみにこの撮影時のカメラ設定は、水中マクロモード、ストロボ強制発光です。
もっと大きく撮りたいって思ったら?
そーいう時は、「マダラタルミ子供により接近する」のが一番確実です。
あとはまだズームできる余裕があるのなら、さらにズームアップ。
一度、先の方法でピントが合ってれば、けっこうズームアップしてもピントが合いやすくなります。
反対にズームアップしてピントが合わなくなったら、もう一度ズームを引いて、ワイドな画角でピント合わせを再度行ってからそのままズームアップする。
と、いうのを繰り返す方が結果的に早くピントの合った写真が撮れると思います。
パグリステス・ジャルール改めダンダラヒメヨコバサミ
ヤドカリブームというのもありましたねー。
ヤドカリ図鑑が発刊されたのが2014年なのでその1-2年前がブームだったと思われます。
図鑑見ると、きれいなヤドカリも多くて私もガイドしようと試みた時期もありました。
代表的なヤドカリたちをご紹介
人気者でいうと、ティーダゼブラヤドカリや
そしてきれいだけれど個体数も多いアデヤカゼブラヤドカリ。
サイケデリックなユビワサンゴヤドカリ。
などなど。
ヤドカリも本当に多種多彩なんですよねー。
こんなキレイだったら見たい人多いんじゃない?
ガイドすればいいのに
…………。
はい。
そうなんですが……、
すんません。出てくるのを待ってられないです
ヤドカリをガイドするときの手順はこうです。
- ヤドカリ見つける
- ヤドカリ捕まえる
- 当然、ヤドカリ本体は貝殻の中に隠れちゃいます
- お客さんが観察しやすいポジションに貝殻を設置
- ヤドカリ本体が再び出てくるまで待つ
- 待つ
- 待つ
- 待つ
- 待つ
- 待つ
どんだけ待たせるねん!!
待てなかったなー。
待てないで、他の生き物を探し始めると、ヤドカリさんが出てくる。
私はよそ見してる。
その間にヤドカリさん歩いて逃亡。
そんなのの繰り返し。
ガイドの仕方が間違っていたのか?
もしかして、ヤドカリガイドさんはヤドカリをすぐに出せるテクニックを持っているのかもしれない。
本当に……うまくいかなかった記憶しかないですね。最近ではヤドカリって滅多にガイドしません
売りのサンゴ
安全停止中には必ず見れる見事なサンゴ群落。
いやー、本当にここのサンゴはきれいだなー。
まとめ
- 深場で見るべきものがないのなら浅場だけで過ごすのも反復ダイビングのセオリー
- 浅場だけで過ごす場合もディープファーストを徹底すればなおさらに良し
- 貯められる残留窒素には限りがあります。見たい生物、撮りたい被写体、それらを天秤にかけて効率よく潜りましょう
- セラトブレグマ属未同定種はリベンジ決定。もっとちゃんと見たい ⇒ 和名はミカンヘビギンポ
- クシノハカクレエビは他にどうやって撮ったらいいんだろうか?
- ヤドカリガイドは未だにうまくできません。ヤドカリを見るためには「待つ」しかないのだろうか?
- ひらひら泳ぐ系の魚をコンデジで撮影するときは、余分なものは全部画角から排除して臨むべし