沖縄恩納村の水中風景をダイビングしてお伝えする記事になります。2021/10/16の恩納村の海はこんな感じになっていました。
まだ沖縄恩納村で潜っていないダイバーさんはぜひ潜りに来てくださいね。
要点
- 晴れ時々曇り 最高気温30℃ 北西風最大5M
- 水温27℃
- 1st dive メガネアゴアマダイとカノコイセエビで遊ぶ
- 2nd dive 思いがけずムロアジの群れに遭遇、ヤミスズキ子供はレアで嬉しい
- この日は午前中2本で終了でした
1st dive
最近、よく来るこのポイント。
ここに潜る時の他店のブリーフィングを聞いていると、水底に群れるチンアナゴが目玉らしい。
私も昔一度、見にいったことあるんだけれど、それ以来行っていません。
なんで? そのポイントの目玉なんでしょ? 行けよ
まぁーそうなんだけれど……。
リピーターさんと潜る時は、その人の趣向と潜り方を把握しているので、
25Mでチンアナゴ見るのってそんなに魅力的じゃないんだよね
チンアナゴの群れの奥にはニシキアナゴがいるんですが、すぐ隠れちゃうし。
ゆっくり観察、撮影できないネタなので、ここに潜る時はいつも「チンアナゴは無し」のコースで潜ってしまう。
で、何を見てるかって言うと、メガネアゴアマダイです。
メガネアゴアマダイ
ずっーと英名のリングアイジョーフィッシュと呼んでいたけれど、
いつの間にか和名がついていました。
今回、その時期を明確にすべくかなり調べました。
そして【「日本魚類学会」の旧日本産魚類の追加種リスト】をくまなく検索し、ゲットしました。
2007/3/30
Opistognathus sp. 1 メガネアゴアマダイ(アゴアマダイ科)
石垣島,奄美大島*岡村・尼岡(1997)
日本の海水魚(P. 285)でカエルアマダイとされた種.
林・大栗(2007)横須賀市博物館研究報告(自然科学), (54): 27-57.
(この情報から、横須賀市博物館研究報告(自然科学)のサイトに行き、論文を探しましたが見つけられませんでした)
2007年かー……。
なるほど。
もっと簡単に探せると思っていたのは、ジョーフィッシュって人気者なのでいっぱいネット上に情報が溢れていると思い込んでいました。
今回探してみて、メガネアゴアマダイの情報の少なさにびっくり。
あんまり……人気ないんだなー……と、けっこうショックです。
そしてその過程で、ムカシカクレエビ属の一種のこともよく目にした。
ジョーフィッシュの仲間の巣穴に隠れているエビです。
ジョーフィッシュとはアゴアマダイ属の仲間の英名になります。大きなアゴを持っていることから、英語でアゴを現すジョーが名前に付けられています。
ムカシカクレエビ属の一種
図鑑「サンゴ礁のエビハンドブック」に掲載されていますが、
あまり有名なエビではないと思います。
水納島のクロワッサンアイランドのサイトに少し詳しく載っています。
「2001/9月に国内で初撮影されました」という内容で琉球新報が記事にしていたと書かれています。
そう。
確かに、一時期、
「ジョーの巣穴にエビが住んでるって!?」
と、ガイド仲間の間で話題になったことがありました。
こんなやつね。
昔の写真しか残っていません。これは2003/9/25のログに載っている写真をそのまま使いまわしました。
当時、真栄田岬のハゼ場近くのリングアイジョーを見張って、見張って、見張り続けて……撮影した写真です。
と、言うのは嘘です
最初、見つけた時は、一瞬でした。
なんかエビがいる……。
その後、通るたびに「エビ、出てないかなー」と思いながら見ていましたが、なかなか次の出会いはありませんでした。
何回か空振りが続いた後、ある日通った時に、メガネアゴアマダイの顔のすぐ近くまで出て来ていまして、撮影したのがこの写真です。
無限圧時間いっぱいまで待ち続けたりとか全然していません。
通る時に気にして見ていたら、チャンス到来って感じでした。
きっと、狙いたい人は、そんな感じで狙ったら撮れるんじゃないですかね。
撮ってやろう!! と、気負うとその気負いが不思議に生物に伝わって、隠れちゃうこと多いですから。
ただ原本の写真はもう残っていません。
CD-Rに焼いて残したはずだったのに、そのCD-Rが読み取れなくなってしまったんです。
かなり後悔してます。
それにしても大きいエビだねー
この写真の個体は特に大きかったです。メガネアゴアマダイも成魚サイズなので、比較すると大きさがわかるよね
見たい!! 今度、ガイドしてほしいです
う……
不可能……と、までは言いませんが、かなり難しい。
いきあたりばったりのガイドではちょっと無理。
リングアイジョーの巣穴をひとつずつ点検してエビの有無を確認するところから始めないとね。
でも、今度探してみます。また見つけたら報告しますね。
追記(2021/12/22)
2017/8月にアギトカクレエビという名前がついたと、FBで教えていただきました。感謝。
アギトって、進撃の巨人の「アギトの巨人」を思い出しますね。
「アギト=顎門(あぎと)」となって、アゴのことを意味するそうです。
進撃の巨人のアギトの巨人も顎が強力だったですからね。
命名されたのが、面識のあるO先生で、学名には那覇のダイブショップ「ドルフィンキック」のSさんの名前がついています。
カノコイセエビ
そしてメインのポイントから外れるようにガイドしていくと、マンツーマンじゃないと侵入できない
細く長い水路があり、奥にはエビ穴がありました。
このあたりは、だいたい「イセエビ」としてひとくくりにされていますが、
もちろん種類があります。
沖縄でよく見られるイセエビの仲間をご紹介。
イセエビの仲間
カノコイセエビ
最も頻繁に見られる普通種。
サンゴ礁の穴の中などでよく見ます。
ゴシキエビ
個人的な感想ですが、沖縄ではあまり見ません。たまに見かけるぐらい。
この写真も過去のデータから抜粋しているのだが、いつ見たのか記憶からは欠落しています。
モルディブでは最も普通に見られる種類で、カノコイセエビの方がレアでした。
ニシキエビ
沖縄では非常に珍しい。泥地でしか見たことないので、きっとサンゴ礁域は好きなエリアではないはず。
レッドビーチや河口域などで潜った時に不意に出くわす。過去に出会った個体は全部特大サイズ。子供サイズには出会ったことない。
出会いたい人は泥地や内湾の奥に潜りましょう。
図鑑「サンゴ礁のエビハンドブック」にはイセエビ、アカイセエビ、シマイセエビも掲載されていますが、私たぶん見たことありません。申し訳ない。
ルリホシスズメダイ子供
今年は少ないような気がします。
私が出会えていないだけかな。
2nd dive
2本目は超久しぶりのポイントです。
過去の記憶をたどりながら、ネタチェックしながら新しいものを探して行きます。
リーフトップから深場へ潜降しかけたその時、お客様の背後から大きな群れが。
私たちと共に潜降してきました。
背後から来る群れってお客さんに教えにくいね。
だいたいマクロ撮影するので、カメラの設定もマクロモードになってるし、
突然群れに出会っても、なかなか撮影できません。
なんでもいいので、ズームレバーをワイド端にして押した写真が2枚残りました。
でも、こーいうハプニングって楽しいよね。
陸上で普通に暮らしてて、何百の生き物に不意に囲まれる経験なんて、ないよね。
これもダイビングの醍醐味だと思います。
ヤミスズキ子供
ピグミーシーホースを探していたんだけれど、全然見つからない。
以前は見つけていた場所も今日はいません。
リーフの割れ目でウミウシでも探そうかと思ったら、ヤミスズキ子供と遭遇。
このサイズは私、初対面です。
全然横を向いてくれなくて、こんな写真しか撮れませんでした。
無念。
ちなみに大人はこんなのね。
キンメモドキ
帰路、季節外れのキンメモドキの小さな群れに出会いました。
キンメモドキ……だと思うんだけれど、スカシテンジクダイかもしれない。
こんな写真じゃー判別できないです。
キンメモドキとスカシテンジクダイって分かりにくいですよね。
キンメモドキって、
- 黄色い目
- オレンジがかった体色
そんな特徴があります。
下の写真は2014/11/9撮影の水納島で群れていたキンメモドキです。
これぐらいの特徴が出てたら、分かりやすいですよね。
スカシテンジクダイの群れにはキンメモドキが混ざっていたりするので、
いつかちゃんと判別のつく写真を撮って記事にしましょうね。
水温27℃
10月中頃で相変わらず27℃。
2021年の10月はホント、温かかったなー。
今日は2ダイブで終了です。
まとめ
- ポイントの目玉エリアであってもお客様が興味ない時は、無理していくことなし。相談して興味のある生き物に潜水時間を捧げましょう。
- リングアイジョーは2007/3/30にメガネアゴアマダイという和名を与えられました。
- ジョーフィッシュの巣穴に住んでいるムカシカクレエビ属の一種はいまだ知名度低し。
- 沖縄で見られるイセエビの仲間、一番多いのがカノコイセエビ。二番目がゴシキエビ。ニシキエビはレアです。
- 大きな群れに強襲されるのは嬉しすぎる
- ヤミスズキ子供はレアすぎる。でも今年は発見報告をよく見ます。多いのかな?
- スカシテンジクダイとキンメモドキのわかりやすい判別写真を撮影することは今後の課題