テレビのニュースではもはや忘れられているかのように騒がれなくなった沖縄の軽石問題ですが、2021/12現在、まだまだたくさんの軽石が漂流し、流れ着き、再び流れ出て、今日の今も、どこかの海上を漂っています。
この記事ではそんな沖縄の現状をお伝えし、遊びに来る観光客の人たちが楽しむにはどこのビーチがお勧めなのかってこともお伝えしたいと思います。
要点
- 沖縄に漂着した軽石は危険なものではないとわかった
- 有効利用についてはまだ手探り状態
- 軽石の漂着場所は沖縄本島ほぼ全域
- 多い少ないの差はあるので、それを30か所確認に行ってみた
- 本島中部東西南北のビーチを実際に撮影し紹介
- 恩納村内の有名なホテルのビーチの状態も紹介
軽石はどこからきたの?
事の始まりは2021/8/13、15時ごろに始まった福徳岡ノ場での海底火山の噴火です。
福徳岡ノ場(ふくとく・おか・の・ば)と読みます。
こんなところ。
沖縄から約1400キロ離れた東南東の海から流れてきたってことですね。
- 2021/8/13 海底火山噴火
- 2021/10/11 奄美大島に漂着
- 2021/10/13-14 沖縄本島北部にも漂着
- 2021/10/23 大宜味村のビーチにてたくさんの漂着した軽石を確認
10/24に真栄田岬近くでボートダイビングした時、初めて水中で軽石を見つけました
10/23は金武に潜っていたんだけれど、軽石は全然わからなかったです
軽石について
軽石って危なくないの?
難しいことは置いといて、危ないものが含まれてないってわかればOKなんだけれど、どうなのかなー?
詳細は沖縄県の公式サイトにリンクが貼られています。確認したい方はこちらからどうぞ。
2021/12/23現在、国の定める環境基準値という物差しがあるんですが、それ以下であるという報告が書かれています。
これは太平洋側の金武にあるギンバル海岸と東シナ海側の名護にある真喜屋ビーチの2か所から採取した軽石で計測、確認されました。
体に有害なものが含まれていないことがわかったのはとりあえず良かったね
沖縄のどのあたりに漂着してるの?
ビーチで遊んだりできるのかな?
こちらも沖縄県の公式サイトに掲載されているデータがあります。
上記サイト内の「市町村別の軽石漂着状況(PDF:38KB)」によると
南北大東島以外は漂着が確認されています。
量の多少はあれど、もはや軽石が漂着していないビーチは沖縄本島にはないと言っても過言ではないほど、どこでも見られるようになりました。
白い砂だけのビーチは現実的に少なくなっていきます
有効利用できるって噂に聞いたけれど……
沖縄県環境部が出している「軽石の採集又は保管に係る規制について」というPDFファイルによると、今回の軽石は、
(1)廃棄物に該当しないため、廃棄物処理法の適用は受けません。
(2)汚染土壌に該当しないため、土壌汚染対策法の適用は受けません。
と、結論しています。
組成を調べたら、廃棄物ではないし、土壌を汚染するようなものでもないってことはわかった
危ないものではないから安心しなさいってことね
畑の土壌改良に使えるって話を聞いたことがある方も多いのでは?
この点も沖縄県のHPは、「農業利用を考えている皆さんへ」という名前のPDFファイルで教えてくれています。
まとめて記すと、
危ないものではないと分かったけれど、海水に浸かっていたものだから塩分がたくさん染みこんでいます。そのまま畑に放置したら土壌のPHや具合が変わってしまったりするかもわかりません。なので、作物になんらかの悪影響が出るかもわかりませんから、気を付けてください。なんかあっても県や村には苦情を言ってこないでね
と、いうことが書かれています。
そして使用するときは、このようにしてくださいとおっしゃってます。
○農業利用にあたっては、
①詳細分析(鉱物組成、採取箇所追加等)による成分特定
②除塩方法の検討や、塩分濃度の経時変化の確認
③投入による土壌や作物への影響(モニタリング)など、中長期的な検証を行う必要があると考えており、沖縄県では、引き続き、関係機関で連携しながら取り組んでまいります。
つまり、まだまだわかんないことが多々あるから、何事もやる時は自己責任でやってちょーだいねって意味ですね。
ま、そんなもんでしょう
長い目で見て、どんな反応が起こっていくかなんて誰にもわからないですからね。
高濃度の塩分と軽石そのものの「もろさ」が容易な再利用を難しくしています。
こんなことに使っている人がいます
- 鹿児島県のコーヒー農園の土地改良 ⇒ 土壌に軽石を混ぜることで水はけのよい畑になる ※軽石を袋に入れて水につけ塩分を抜いた後で活用されてます
- 神奈川県では、軽石の表面を吸着剤として使われる「ゼオライト」の結晶に変える実験に成功。 ⇒ 放射能汚染水の処理に使える可能性もありうる……らしい
- 沖縄県読谷村では、焼き物「壺屋焼」の釉薬に使用 ⇒ 深みのあるあめ色に焼きあがった
参考資料: 漂着軽石、活用アイデア続々 釉薬や土壌改良、水質浄化も―専門家「資源循環の好例」
沖縄県では有効方法を広く募集、検討している最中で、今後また発表されていくでしょう。
新しい利用方法がありましたら追記していきますね。
軽石の少ないビーチは?
沖縄で軽石のない、または少ないビーチってもうないの?
どうだろうか? 恩納村のビーチは頻繁に見ているけれど……よしっ!!
と、いうわけで2日間かけて見て回ってきました。
と、言っても沖縄本島全部を見るのはちょっと無理なので、読谷村、恩納村、石川、金武の辺りを見てきました。
4つのエリアに分けました。
A 読谷村海岸エリア
B 恩納村真栄田海岸エリア
C 恩納村恩納海岸エリア
D 金武湾、金武、石川、天願海岸エリア
参考までに風雨の記録も載せておきます。
軽石は文字通り「軽い」ので風向きによってどこにでも流されていきます。
なので、軽石の状況を知るには風向きを知ればある程度の予測ができます。
撮影日2021/12/23のデータです
2021/12/23の天候 曇り時々雨、最高気温21℃、降水量9㎜、東の風最大風速9.0m/s
データからもわかるように、ここ数日間はほとんど北寄りの風が吹いています。
その結果としての今回の状況だということを踏まえて一緒にビーチを見ていきましょう。
A 読谷村海岸エリア
A-① 渡具知ビーチ
最初に見に来たのが読谷村と嘉手納の境目、渡具知ビーチ。
ぜ、全然ない……
マジかー……超びっくり!!
恩納村のビーチばっかり見てたら、この風景はちょっと信じられない。
同じ東シナ海側なのに。
ビーチに降りて、砂粒をよく見ても、軽石がなーい。
ほんまかいな? と、思うも、これが2021/12/23の現実。
A-② 木綿原(もめんばる)ビーチ
隣の木綿原ビーチにも行ってみた。
いやー、本当に軽石がない……。
ここまできれいだと、本当に予想外でした。
A-③ 楚辺(そべ)ビーチ
楚辺ビーチは都屋漁港の横にあります。
写真の奥にあるのは都屋漁港です。
海には軽石が浮いてませんでした。
ビーチの波打ち際から離れた場所に軽石が少しあるだけでした。
A-④ 都屋漁港
隣の漁港にも行ってみました。
漁港横、楚辺ビーチの反対側のビーチには楚辺ビーチよりもたくさんの軽石がありました。
ただ海にはやっぱり浮いてないですね。
港内にはまったく浮いてなかったです。
A-⑤ ホテルアリビラ内、カナイビーチ
そのまま県道6号線を残波岬方面に北上します。
海は西側に位置してます。
最初に観察に来た渡具知ビーチからずっと西側に面した海を観察しています。
どこのビーチも波打ち際からけっこう離れた場所に軽石が波の形に置かれてありました。
きっと、だいぶ前に西風になった時があったので、その時に流れ着いた軽石ですね。
A-⑥ 宇座(うざ)ビーチ
残波ロイヤルホテルの横のビーチまでやってきました。
宇座ビーチといいます。
海もきれいです。
ここもきれいなビーチでした。軽石は少しだけ。
ここまでの海は全部、西に面していました。
いよいよ、残波岬から北に面した海になります。
A-⑦ 残波岬
残波岬の駐車場に到着し降り立った時に感じる風の強さが全然今までと違いますね。
残波岬の灯台横の海は北東に面していました。
軽石は浮いていましたが、予想以上に少なかったですね。
北に面した海でも岬の先端は流れもあるし、波も当たる。
軽石が溜まりにくい環境なので、少ないのか?
4匹いた野良猫の中で一番ワイルドな奴が伸びをしたので撮らせてもらいました。
B 恩納村真栄田海岸エリア
そのまま恩納村方面に車を走らせました。次にやってきたのは瀬名波ビーチです。
B-① 瀬名波(せなは)ビーチ
北に面した海で、残波岬東側の湾奥に当たります。
すると……、やっぱり溜まっていました。
恩納村でいつも見ているビーチの風景でした。
もう白い砂が隠されて見えなくなってしまっています。
波打ち際も軽石で埋め尽くされて、海岸線の境界が区別できません。
雨水が流れていく場所の軽石は海に戻されて行きますね。
今日は東風なので、恩納村海岸に漂着していた軽石が満潮時に海に戻され、東風に乗って、西側の岸に漂着した結果になってますね。
次に行く、長浜ビーチはさらに湾奥に位置しています。
どうなることやら……。
B-② 長浜ビーチ
ここが湾の最奥部。長浜ビーチの最西端です。
ここはいつも海全体に軽石が溜まっているんですが、今日の東風で全部一か所に押し込められたって感じです。
なので、長浜ビーチの東側には軽石がありませんでした。
2021/12/23は、ここまでで終了しました。
次からは翌日に周りました。
2021/12/24の天候 晴れ、最高気温25℃、降水量5.5㎜、北の風、最大風速8.3m/s
とても暑い日になりました。
長浜ビーチの様子をまとめた記事はこちらになります
B-③ 真栄田岬
ダイビングポイントとしても有名な真栄田岬。
緩い北東風なので、もっと軽石が溜まっているかと思いましたが、あまりなかったです。
っていうか、全然ないです。
展望台のある先端に行ってみると、岸の近くに少しだけ浮いてました。
でも少ないですね。北に面しているのに。
残波岬と言い、やはり岬先端は溜まりにくいんでしょうね。
B-④ マリブビーチ
定点観察ポイントにしているマリブビーチは私が見ているビーチの中でも
軽石の多いビーチです。
この日も安定の多さです。
マリブビーチはほぼ毎日記録しています。記事を見たい方はこちらからどうぞ。
C 恩納村恩納海岸エリア
C-① タイガービーチ
恩納村のビーチの大半は北を向いています。
タイガービーチは西のモントレー、東のシェラトンサンマリーナホテルに挟まれたビーチですが、一般の人でもビーチに出られます。
軽石は多いです。
C-② 万座ビーチホテル
そして、恩納村で地形的に西を向いているのが、万座ビーチホテルのビーチとブセナテラスのビーチです。
西に面しているので少ないだろうと予測していたのですが、やはり少なかったです。
それでも予想よりも多かったです。読谷の渡具知ビーチ級に少ないかと思っていました。
C-③ ハイアットリージェンシー瀬良垣
そして瀬良垣漁港の横にあるハイアットリージェンシー瀬良垣に面したビーチを見てきました。
下の写真に写っているハイアットリージェンシー瀬良垣のビーチは南に面しているのですが、
あまりにも水路が近すぎるので、軽石がたくさんビーチに打ち上げられていました。
北に面している方のビーチにはたくさんの軽石が流れ着いています。
2021/11/22の瀬良垣漁港の軽石の様子をまとめた私の動画です。
C-④ なかゆくいビーチ
お菓子御殿のすぐ近くにある休憩所、「なかゆくい」のすぐ横にあるビーチです。
C-⑤ ハマバルビーチ
ハマバルビーチにある東屋、58号線に面しています。
海は北に面していて、少し湾のようになっているので、当然軽石が集まります。
うーん、みゆきハマバルビーチホテルのスタッフが清掃活動している姿が見えましたが、
かなり大変そうでした。
岩の上に残された軽石は次回の大潮の満潮時にまた海に流れていきます。
C-⑥ 熱田ビーチ
ここは安富祖小学校の横の熱田ビーチです。
やはり北に面してます。
ここもマリブビーチ同様に多かったです。
でも、ここは湾のようにはなっていないので、こんなに溜まっているとは思わなかったのですが、
すごく溜まっていました。
水面にはほとんど浮いてなかったです。
C-⑦ 希望ヶ丘ビーチ
希望ヶ丘のペンション村のすぐ前にあるビーチです。
少し西側を向いているだけで、軽石の量が全然違うように感じます。
ここはハレクラニホテルのすぐ隣のビーチになります。
C-⑧ いんぶビーチ
ここはハレクラニホテルとかりゆしビーチリゾートに挟まれたビーチです。
恩納村って、本当にリゾートホテルだらけですね。
北西を向いたビーチなので、少ないかと思いきや、けっこう多かったです。
遠くにかりゆしビーチリゾートホテルのビーチ施設が見えます。
軽石の量は、決して少ないとは言えませんね……。
ハレクラニホテルも見えてます。
C-⑨ かりゆしビーチリゾート
かりゆしビーチリゾートホテルの施設内には入れなかったので、58号線から撮影しました。
ビーチ自体は北東の風をモロに受けるので、やはり多めですね。
このビーチに向き合うようにして立地しているのがブセナテラスビーチで、西を向いてます。
ブセナテラスビーチは少なそう。
C-⑩ ブセナテラス
高級リゾートの代表、ブセナテラスビーチホテルです。
ビーチに出てみると、少しあるものの、他の恩納村のビーチと比較してもかなり少ないです。
海にも浮いてませんでした。
ハレクラニホテル側を見てみても軽石はほとんどありません。
ホテルのゴージャスさに気を取られて、コンパスを写しこんで撮影するのを忘れてしまいました。不覚……。
C-⑪ ブセナテラスビーチ東側
ブセナテラスビーチの反対側も確認。
こちらは北から北東を向いたビーチなので、軽石が溜まってます。
透明度の高い海が広がっていますが、水面には軽石が漂っています。
サンコーストホテルが見えています。
C-⑫ 幸喜ビーチ
サンコーストホテル正面のビーチです。
北西に面しているので、そんなに多くないのかと思ったら、ビーチの一番陸側にたくさん軽石がありました。
でも、ビーチにはないんですよね。ちょっとしか……
もしかしたら、掃除して海から上げた奴をビーチの最陸側に積み上げているのかもしれませんね。
C-⑬ 湖辺底公園
沖縄高速道路の許田インターチェンジの高架下にある港です。ここまで来ると名護市になります。
北東に面している。
湾になっている。
この2つの条件が重なったら、間違いなく多いです。
船、出せないだろうなーと思わせる量の軽石が水面にも浮いていました。
D 金武湾、金武、石川、天願海岸エリア
太平洋側はどうなっているでしょうか?
沖縄本島東海岸も撮影してきました。
D-① 宜野座、潟原干潟
ここは干潮時には大きな干潟が現れる遠浅の海です。
海にはほとんど浮いていません。見つけられませんでした。
ビーチに少しだけ、波で打ち上げられた軽石が漂着していました。
恩納村とは違って、ここのビーチの砂は白くないです。それで普通なんです。その色は軽石とはまったく無関係です。
D-② 宜野座、漢那ビーチ
漢那漁港のすぐ横にあるビーチです。
南西に面しています。
軽石は全然多くないです。
軽石があっても、砂に埋まっている状態で見つかります。
D-③ 金武、レッドビーチ
ダイビングでお馴染みのレッドビーチ。
金武漁港の隣にあります。
D-④ 石川、屋嘉ビーチ
嘉海(よしみ)食堂裏のビーチです
水面にはほとんど浮いていません。
ビーチには少しだけありました。
この辺りのビーチの軽石はだいたい砂に埋まっていました。
このまま砂に埋まって、やがて普通のビーチに戻っていくように思います。
D-⑤ 石川、石川ビーチ
石川の市街地に入ってくるとビーチがあります。
東に面したビーチです。
水面には浮いていませんが、波打ち際から離れた場所で溜まっていました。
D-⑥ うるま市、昆布ビーチ
金武湾をぐるりと回りこんできました。こは北向けのビーチになります
太平洋側は軽石が少なかったのですが、北に面したビーチにはやはり多かったです。
うん、多いね。
まとめ
- 西または南に面したビーチには軽石の漂着はほとんどない ⇒ 読谷村沿岸や恩納村内ではブセナリゾートホテル、万座ビーチホテル、金武、石川のあたり
- 北、北東に面したビーチには軽石の漂着がとても多い ⇒ 長浜ビーチ、マリブビーチ、かりゆしビーチリゾートホテルのビーチなど
- 北西に面したビーチは微妙……
- 東海岸のビーチに漂着し、砂に埋まっている軽石たちは、このまま砂に埋没しそうでした
- 冬で泳ぐのには適していませんが、きれいなビーチは、万座ビーチホテルやブセナテラスビーチホテル
- しかし、軽石のあるビーチは考えようによっては、いつもは見られないレアケース ⇒ 軽石のあるビーチを楽しめるのは今だけかも? ⇒ ならば、恩納村内のどこのビーチリゾートホテルに宿泊しても、軽石のビーチを楽しめます
季節は冬でもともとビーチで泳ぐことは沖縄でのレジャーリストには入っていないはず。ならば、軽石のあるビーチを散策して撮影したり、観察したり、収集したりして楽しんじゃいましょう。
今後も軽石のレポートは続けます
定点観察しているマリブビーチの記事はこちらからご覧ください。