2012年の4位は汽水に住むハゼたちです。
今まで何度も通っていたポイントなのですが、毎回ヒドすぎる透明度にノックアウト。だって、なんにも見えないんだもん。調査しようにも・・・、手も足も出ません・・・って状態でした。
ところが、この日、12/9は未だ体験したことのないクリアーな風景が広がっていた。ここのポイントに入る予定ではなく、ふらりと立ち寄っただけだったのだが、その透明度の良さに、瞬時にここに入ろうと決めたのですが、それが正解。
いろんなハゼが見つけられました。まず稀種のアゴヒゲハゼ。
ネットで検索しても、奄美大島産のものと私の撮影したものが水中写真として掲載されているだけです。ハゼ図鑑にも未掲載です。
そして、ヒトミハゼ。
初めて水中で見たときはコチ科の魚だと思ったほど、大きかったし、ひらべったかった。
最大の特徴はその瞳。目の上からまぶたのような突起が出ています。なので慣れると水中でも判別は容易。でも、その大きさから瞬時にわかることが多かったです。
そして紛らわしいのがスナゴハゼ。
大人の個体はまだそうでもないが、小さい個体にヒナハゼが混ざっているとかなり混乱してしまいました。またスナゴハゼの模様の濃淡が激しいので、図鑑の写真と見比べてもあるべき場所に黒線がなかったり、逆だったり。数を見て、慣れるしかないですね。
そしてまた巡り会えるかわからないのがオカメハゼ。
図鑑には稀種とも書かれていないが、この撮影したこの時しか出会えていません。お客様がたまたま手をついた場所。多分そこの底に潜っていたんだと思うのですが、気づいたらひょこひょこ出てきました。泳ぐというよりも飛び跳ねるという感じで移動します。そのスピードもかなり遅い。汽水域でまた探したい魚ですね。
そして、かわいかったのが、クロホシマンジュウダイの幼魚。
いろんなサイズに出会いましたが、撮影は本当に困難。見られるときは、水深が15センチぐらいのときでした。それ以上水があると、そこにはいないんですよね。逃げられると、もう自分の体は動かないし、動くと泥が舞って視界が悪くなるし。
下の写真はお客様と挟み込むようにして深場に誘導し撮影したものです。
図鑑を見て、まだ見ていないハゼたちの生息環境を見ると、この汽水域というのはかなり魅力的なフィールドに思えますが、その透明度は最大のネック。
泥場が多いのは言うまでもないが、特筆すべきはサーモクラインとケモクライン。両方起こっているようなときもあるし、片方だけの場合もある。
ケモクラインは海からの海水と川の水が入り混じることで起こる水の濁りで、サーモクラインは温度の異なる水が混ざり合うことで起こる濁りです。
難攻不落な汽水域に偶然にも攻め込めたことで、ちょっと攻め込み方のヒントを得たような2012年でした。今年はもっともっと攻めてみたいです。